マミヤさんと何となく

なんとなくな暇潰しの話を なんとなく楽しんで頂ければ幸いです。

御機屋

 

こんばんは

 

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イカA型 旧エルマー 50mm F3.5

 

 

唐突ですが、、、

 

中越の塩沢に

巻機山という山があります

 

登った事はないですが

昔から好きな場所

 

 

 

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イカA型 旧エルマー 50mm F3.5

 

写真の場所は関係ありません

 

 

山自体も魅力的なんですけど

そこに伝わる民話が素敵なんです

 

 

端的に書くと

 

姥沢新田という村に住む

「与作」は

病に伏せる母の為に

巻機山にある黄蓮という薬草を採りに行きました

しかし

いくら探しても黄蓮は見当たらず

途方にくれ休んでると

山頂のほうから

トンカラトンカラ機を織る音がします

 

不思議に思い登っていき

仮の機屋を見つけます

 

覗くと

美しい娘が見事な手捌きで機を織っていました

 

娘が与作に気付き

驚きながらも尋ねるので

与作は経緯を娘に説明すると

 

娘が少し待つように言い

山に入っていくと薬草を持ってきて

「わたしも共に行き看病致しましょう」

織り上げた反物を手に共に与作の家まで行くと

母の看病をして与作と生活を共にし

母の具合もよくなり

与作も娘との結婚を考え始める

すると

鶴の恩返しの如く

7月1日に

「決して覗かないでください」

と部屋に篭り

案の定

蛇という正体を見られ

双方別れを惜しみつつ山に帰るというもの

 

こっちのパターンがわたしは嫌い

 

うん

この話

実は2つ伝承があるんです

 

 

 

んで

もう1つのパターン

 

大木六に住む

「与治右衛門」という男

 

山に入る経緯は与作と同じ

 

薬草を見つけるが日が暮れ困ってると

山中に灯りが

辿り明かりの漏れるその屋へ入ると

美しい女が機を織っていました

 

「ここは人間のくる所ではありません

 あなたを麓まで送りましょう

 しかし

 決して振り返ってはいけません」

 

弥治右衛門を背負い

女は物凄い速度で山を駆け下り

あっという間に麓へ着くと

女は弥治右衛門をおろしました

 

美しい女の姿をもう一度見ようと

弥治右衛門が振り返った瞬間

片目が潰れてしまいましたとさ

 

御仕舞い

 

 

 

 

最初の話は

雪女+鶴の恩返しみたいな

童話じみた話です

 

後半の話は

戒め話

 

戒めとは

場に穢れを入れない教訓です

 

鍛冶場に麻、蔓、女性と犬を入れないのは

金屋子神が嫌うため

 

機屋も

北越雪譜

等々

様々な禁忌や作法が地方ごとにあるので

気になったなら調べてみてください

面白いですよー

 

機屋とは少し違いますが

当時の機屋女の実情を知れる書物として

「呪われたシルクロード

とかもおススメです

 

んで

恐らくですが

後半の話が本物

前半の話は後世に色をつけられたもの

だと思ってます

 

理由?

ん~

まぁ

 

話に生臭さがないから

ってとこですかね

 

ついでに

片目を失うってのは大体が、、、、

それは

いーか

 

民間伝承や伝説は

大概

現本ほど

血生臭く

エロくて

理不尽

 

そこに

人間は畏敬と畏怖を感じるから

意味があるんです

 

 

 

 

さてさて

 

 

 

神の為に山の機屋に1人篭り

トントンカラカラ作業する

美しい機織娘

見てみたいですよー

 

機織娘を神とする考えもありますが

わたしは

彼女は神に仕える女性だと思ってます

人間ではありませんがね

 

 

神聖な機屋で永遠に機を織り続ける

それは

ある意味、、、、

 

 

中越地方の一部では

女性は機を織るのが仕事でした

 

深々と降る雪の中

隙間風に震えながら織った反物は

今の機械では作れない重みがあったでしょうねぇ

 

久々に

お松さんに会いに行きたくなりました

 

という

お話